悪魔の封印を解いちゃったので、クールな幼なじみと同居します!
「そんなにあいつが心配か?」


リドの言葉にハッと顔を上げる。

心配そうな、だけどまっすぐな瞳が、あたしをまっすぐに見つめる。

見透かされているって思った。


「そ…そんなわけないじゃん!」


「何言ってんの」ってから元気を出して答える。


「野菜炒め、意外と上手にできたでしょ!やっぱあたし天才だね!」


ピーマンを口に放り込んで笑って見せる。

だけどリドは少しも笑わない。


「心配なんだろ?」


リドがもう一度冷静な口調でそう言うから張り付けていた笑顔も崩れていく。

沈黙があたしたちを包み込んだ。

何も言えないけど、それを肯定だとみなしたリドは「心配いらねーよ」とため息を吐きながら答えた。


「大丈夫だ。あいつはそう簡単にやられたりしねーよ。このオレが保証してやる」


口調とは正反対な穏やかな微笑み。どうやら元気づけてくれているらしい。

いつもなら「なに言ってんの。自意識過剰」なんて言葉を言うところだけど、今回はちゃんと素直になろうと思った。


「じゃあ、大丈夫だね」


あいつは目を見開いて驚いた顔をしていた。なんで、そんな顔をするの?


「あんたが大丈夫だって言ったじゃん」


すると「あ、あぁ」とリドは答えた。なんて煮え切らない返答だ。信じてあげたのに、なんでそうなる。


「あぁ」


リドはもう一度微笑んでくれた。

あたしも微笑み返して、ごはんを口に運んだ。

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