Love Cocktail

Gimlet

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12月に入り、クリスマス用にカクテルを試作中。

「いや、悪くない。悪くないと思うんだが……」

中根さんの表情に、少しだけ嫌な汗が流れる。

試作品その1フローズンタイプの抹茶カクテル。白玉、つぶ餡のせに渋面を作られた。

「俺は好きだが。丸っきりデザートかな?」

オーナーはそう言ってカウンターに座り、デザートスプーンで試作品を食べながら首を傾げている。

「ホテルのラウンジより、カマクラ向きのカクテルだと思う」

「やっぱりそう思われますかぁ?」

「吉岡はカマクラでの試作品が多いからなぁ。もうちょっと落ち着いたものの方がいいかもしれない」

落ち着いたものですかぁ。

シェーカーを洗いながら眉を寄せる。

「オーナーの好みでは、どんな感じですか?」

「俺? 色艶があって、甘くて刺激的で、それでいて落ち着ける感じ?」

「それは女性の好みですか」

「そう」

「そんなものは今、聞いてませんからねぇ」

中根さんが隠れて吹きだした。

それを見つつ、オーナーから試作品を取り上げ一口食べる。

うーん。確実にこれは甘いんだよねぇ……。

「クリスマスですから甘いって言っても、甘すぎはタブーですね~」

首を傾げると、カウンターから身を乗り出したオーナーに試作品を奪い返された。

……貴方の舌の好みには合ってましたか。

「クリスマスの客は3種類だと、俺は思うが」

乗っかっていた餡を食べ、オーナーはスプーンを器用に回す。

「甘いケーキを食べて来た客か、居酒屋で飲んで来た客か、レストランでディナーだった客か」

オーナーはちらっと私を眺め、少しご機嫌そうに溶けてきたカクテルを飲んだ。

「吉岡は、ホテルに来るのはどんな客だと思う?」

「え? あわよくばを狙ってる人ですか?」

「おい……聞いているのはそこじゃないからな?」

オーナーは目を細め、中根さんは今度は背を向けて肩を震わせている。

「ケーキの人はホームパーティー派だろうし、居酒屋組みがホテルのラウンジバーは敷居が高い。とすれば、ディナー組みだろうが」

「あ、成る程ですね!」

ポムと手を打って、首を傾げる。
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