Love Cocktail
『はぁ? 天使像、は、はか……なんですって!?』

「要するにイメチェンですぅ」

電話口で笑う声。

『その心意気は気に入ったわ。それで25日は何時がいい?』

「17時の飛行機ですから……15時までに終われば」

『OK。じゃ、10時までに店い来なさい。場所は解るわね?』

「はい! 恐らく大丈夫ですぅ」

『じゃ、待ってるわね』

そう言って、素早く電話は切れた。

スマホをしまってホッとする。

確かに変わってそうな人だけど、いい人みたいで良かった。

玄関のドアを開けて、まだ明るい日差しにくらっとする。

住民票やらなんやらの手続きのために早めに出てきたけど、晴天のお空は寝不足の私にはキツイ紫外線。

確か、ネタとして昔買ったピンクのサングラスがあるはず。

ないよりはましかもしれないと、見つけたサングラスをかけて階段を下り、目の前に停まっていた車を避けて歩き始めた。

白い息が頬にかかってサングラスが曇る。

この暖かな冬も後数日だなぁ。

役所で転出の手続きを済ませて、そのままの足で銀行に向かう。

当面必要なお金とオーナーに返すお金とを下ろし、それから電車に乗ってホテルに着くと、従業員入口をくぐった。

お金はいつ返そうか。最近、休みをずらしたせいもあってオーナーに会っていない。

明日マネージャーか中根さんにお願いすればいいかな。

そう決めて、すでに何人か乗り合わせになっている従業員用のエレベーターに乗った。

「おはよう。吉岡さん」

中に庄司君がいて、片手を上げている。

「おはようございます。早いですね!」

「クリスマス近いから4人体制組むらしいよ。最近、あまりミーティングに出てないから知らなかった? 吉岡さん」

苦笑して頭をかく。

ミーティングは、オーナーの来る木曜日にしてるらしい。

……という事は、中根さんと私と庄司君、そして他店から移動して来た浅間さんでクリスマスを乗り切ると、そういう事かな?

「そういえば、吉岡さん。いつ引っ越しなの?」

庄司君に首を傾げられ、微笑みを返す。

「荷物は明日で、発つのは明後日です」

「ええ? じゃ、明日はどこに泊まるの?」

「24時間営業のファミレスか、カプセルホテルでしょうね」

「せっかくこっち最後なのに、もっといいとこに泊まりなよ~」

情けない声を上げる庄司君に、軽く手を振る。

「さすがにクリスマスイヴに、空室なんてありませんって~」
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