幻が視る固定未来
今日は月曜日なので普通に中学校に行かないといけない。
朝食を終え、制服に着替えていつもと変わらぬ時間に玄関で靴を履いている時、木下も一緒に靴を履いている。

あぁちなみに木下は召使い用の服装ではなく私服。どことなくセーラー服っぽいけど色彩は単純な色合いの服装である。
玄関ではなく家の門まで出迎えると思っていたのだが、オレが門を過ぎても行ってらっしゃいの一言が来ない。
小声過ぎて聞き洩らしたかと振り返ると、木下が何食わぬ顔で付いてきている。
まさかと思うがこのまま付いてくるつもりなのだろうか……いやあり得る。

「お前、どこまで付いてくるつもりなんだ」
「……」

何故か木下は返答ではなくただ小さく首を傾げて同時に瞬きをしている。
それが一体どうゆう返答なのか理解出来ないのは言うまでもないだろう。

「助歌には一体なんて言われたんだ? 学校まで行けって言われたのか、ひょっとして」
「言われてない」

いつもの無表情に戻ったと思った瞬間この返答。
考えてみれば助歌ですら玄関止まりなのに、付いて来た地点で何も言われてないのだろう。
さっさと気がつけば玄関で止めていたが、何ゆえオレも初めての体験だから気が付きもしなかった。

「分かった。だったら今度からは出迎えは玄関まででいい」
「了解」

模範的なお辞儀をして木下は門まで戻って行った。というか行ってらっしゃいくらい言わないのか。
そんな疑問を抱きながらオレは中学校へと向かうのだった。
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