幻が視る固定未来
「私が知る限り、灼蜘の父、前玄武は過去最強の玄武だったと言われている。けど、元々生まれた時から最強だったのではないと聞かされた。毎日の訓練と諦めない努力があったからこそ、正式に玄武を受け継ぐ時に最強の玄武を得ていたらしい」

その話は知っていた。誰でもなく母上から聞かされたのだから。

有希乃も知っているということは多分、両親のどちらからか聞いたのだろう。本当に有希乃はエデンのことをいろいろ知ってるな。
きっと家族の会話としてそんな話があったのだろう。オレにはそんなことなかったからな、ちょっとうらやましいといえばウソじゃない。

そんな話ばっかりで明日の不安もないまま、オレは当たり前のように「おやすみ」を言って有希乃は帰って行った。



オレは明日からやっと幻視の特訓だと胸躍らせて。
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