幻が視る固定未来
「灼蜘がそれを負けと思うならいい。けど、それが本戦だったら、負けを認めた?」

本戦というのは間違いなく殺し合いの類に該当するだろう。
つまりはルールの決まった剣道ではない。
その場にいるオレは幻視灼蜘という一人の人間ではなく、守護四神の玄武として立っている。
ならば、たかだか武器一つの破損で負けを認める訳がない。

「本戦なら負けを認める訳にはいかないな」
「だったら武器を失った灼蜘はどうやてって戦う?」

オレの返事に即返答。

さて、あの状況、もしオレがあの場で玄武として立っていたら……あんな状況にはならなかっただろう。
けど、これはあくまで仮説、ならそうゆう状況になったと思うしかない。

一度視界をクリアにするため目を閉じる。そしてあの戦いを思い出す。

「失ったのが武器ならば、また新しく武器を構成する。けどそれは幻としてで、幻では斬ることは出来ない。だから幻の武器を利用して相手の武器を奪う」
「もし、相手が幻の武器だと見分けられて、武器を奪われることも分かっていたら?」
「即座に格闘に切り替える、それをフェイントに一気に後退して幻視の扉を発動させる」
「悪くない判断。だけど幻視の扉の発動が早すぎる。出来る限り幻視の扉は切り札にした方がいい」
「もちろん大抵の場合、幻視の扉まで発動することはないな。だけど相手のタイプを考えて幻視の扉以上の切り札があるように思わせるのも手の一種だぜ。今回の相手は正に適用できる相手だしな」
< 282 / 383 >

この作品をシェア

pagetop