幻が視る固定未来
青龍
「話って何?」

オレは助歌を通して母上に呼ばれたので、有希乃にそのことだけ言って一人で母さんの部屋に来た。

部屋の中には母さんしかいない。てっきり助歌がいると思っていたがそうではないようだ。それほど重要な話なのだろうか。

ひょっとしてオレだけ先に推薦受験の結果が出たのか? でも早すぎはしないだろうか。

「まずは座りなさい。その後に話をしましょう」

オレは母さんの言う通り椅子に座り、普段なら助歌が入れる紅茶を入れてくれた。
この優しさ、逆に怖いぜ。もし推薦受験結果なら……目に見えているな。
とりあえず落ち着くために一口飲む。普段と変わらずおいしいものだ。

「それでそろそろ本題に入りたいんだけど」
「そうですね。では話しましょう。でも勘違いしないで、受験の結果が出た訳ではありません」

表情で出すぎてたんだろう。少し笑いながら母さんは言う。
ちょっとどころかかなり恥ずかしい……。
でも、それだと一体どんな話が話があるんだ? 助歌がいないってことはオレと母さんだけの話ってことだ。それはつまり幻視家の話ってことだろう。
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