恋の罠にはまりました~俺様部長と社内恋愛!?~


「そうか……。実は今日は指輪を買ってやろうかと思っていたんだが」

「指輪?」

「ああ。指輪を常に身につけていれば、男がいるとわかりやすいだろ」


そういえば学生のとき、右手の薬指に指輪をするのは、“彼氏がいます”っていう意味があるとかないとか聞いたことがあるような気がする。

そういうの、未だにあるんだろうか。社会人になってから、そういう話と疎遠になってたからなあ。


「社内でお前に手を出そうとする男がいるかもしれないからな」

「まさか。いませんよそんなの! 心配ご無用!」


あははと笑う私とは対照的に、一成はより一層口角を下げた。


「小悪魔め」

「はい?」

「なんでもない。じゃあ、いらないんだな」

「もらえれば嬉しいですけど、今日でなくてもいいし、そんな高級ブランドでなくてもいいです」


さすがに子供用のおもちゃみたいな、ゴムで編んだものとか、蛍光色のビーズ製はへこむかもしれないけど。

いや、もし一成が手作りしてくれたなら、そんなものでも喜んでしまいそう。


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