地味な私が恋したヒト
縮まる距離
「なんで、お前らがいるんだよ……」
日曜日。
私たちは地元の映画館へと来ていた。
「え、ゆらから聞いてなかったの?」
そう。
私、あの時相当浮かれてて
2人もいるってことを完全に伝えるのを忘れてた……。
自分でも忘れてたくらいだから……。
「桜井くん、ごめんなさい……。あの、あの時浮かれててうっかりしてたっていうか」
今更なにを言っても言い忘れたことに変わりはない。
「別にいいけど」
でも、何故か桜井くんはあっさり許してくれた。
あ、あれ?
さっきまで怒ってたような気がしたけど、そうでもないみたい?
「2人ってほんとラブラブだよな」
佐々木くんがそんなことを言うから、私は真っ赤になってしまった。
「そ、そんなんじゃないよ」
「そんなんじゃねぇから!」
桜井くんも同じように否定してるけど、
舞香と佐々木くんは何故かニヤニヤして私たちを見るだけ。
「早く映画行こうよ!何見る〜?」
そんな視線から逃れたくて、私は1人で歩き出したのだった。