嫌い、のち好き、のち愛

「え!?」


「だって、もう何回も言われてます」


え、どういうこと……と、思いつつ。


なんとなく心当たりのあった俺はかああっと顔が赤くなるのを感じた。


そんな俺を見てる真咲ちゃんに目隠しするみたいに手を伸ばす。


「ちょっ、見ないで。今、ちょっと恥ずかしすぎるから」


そう言う俺の手を真咲ちゃんは払いのける。


「嫌です。見ます」


やっぱり真咲ちゃんは予想外の行動をする。


「村上さんの色んな顔、見たいんです」


そして俺の心を、鷲掴みにするんだ。


「そんなこと言われたら期待しちゃうじゃん」


返事を言ってくれない真咲ちゃんにそう言うと、真咲ちゃんは天使のような無垢な笑顔で笑う。


< 97 / 128 >

この作品をシェア

pagetop