殺人事件と雪ウサギ
 ウサギ達に気づかれる前にこっそりそこから逃げ出して、僕はしばらくふらふらと歩いた。

 転んで、雪に頭を突っ込んで、おでこが冷えて冷静になる。

 雪ウサギがしゃべるなんてありえない。

 きっと僕は寒さで幻覚を見たんだ。

 やっぱり僕はこのまま死ぬんだ。

 人生の最後にあんな幻覚を見るなんて、僕はいったいどれだけ寂しいんだろう?

 どうせなら、どうせ最後なら、せめて人間の幻覚を見たいや。
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