殺人事件と雪ウサギ
 日がかげり始めて気温が下がる。

 あとちょっとなのに指がもう動かない。

 夏憐が僕の手に掌を重ねてきた。

 夏場ならきっと冷たく感じたはずの幽霊の手は、だけど雪より冷たくはなくて、僕はもう少しウサギ作りを続けられた。
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