窓ぎわの晴太くん
ののちゃん、あの人はやめなさい

   晴太の指先





「ののちゃん、今日の分のシフトにサインしてもらっていいですか?」



「あ、はい、今行きま~す」


野々山里子の仕事はたくさんいる派遣社員のいわゆるお世話係。

最近テレビや雑誌で取り上げられている健康食品会社「にこにこ応援家族」に勤める里子は、30人近くいる電話受付の仕事をこなす年配の女性達のサポートフォローを任されていた。

里子の在籍する部署は、販売促進部 販売課 オペレーター係。
オペレーター係は広瀬係長と里子の二人だけだ。

広いオペレーター室にはパソコンが30台程並んでいて大きな窓があった。

夕方近くになると里子は急に忙しくなる。
5時に上がる人達6時に上がる人達の、派遣会社へ提出するシフト表にチェックとサインをしなければならないから。



我が先にとごった返す列が終わる頃、あの人はのんびりとそこに立っている。



東晴太・・・


おばちゃん達しかいないこの職場に、どうして彼はいるのだろう?








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