窓ぎわの晴太くん

   里子の決意




涼は晴太にばれないように同じ車両の反対側の隅の席に座った。
姉の夏子からは晴太の事には首をつっこむなと言われてる。

でも、何年も行方不明になっていた晴太が今そこにいる。

里子のためにも晴太の両親のためにも晴太の現在を知っておきたいと思っていた。


しかし・・・

里子に連絡したことは早まった行動だったと後悔していた。
涼はこの探偵ごっこに里子も参加するなんて夢にも思っていなかったから。

涼の携帯には何度も里子からメールが入ってくる。

メールっていうのは面倒くさい・・・
昨日、LINEでも交換しとくべきだった。


“私、早い路線で東京駅に向かっています。
東京駅でよかったんですよね?”


涼は大きくため息をついた。

俺は東京駅とは言ってないぞ・・・
東京駅方面行の電車に乗ったって言ったはずなんだけど・・・


“了解です。また連絡するね”


涼はいっそのこと晴太が東京駅以外の場所に行った方がいい気がしてきた。

晴太が何をしようとしているのか俺には見当がつかない。
そして、やっぱり里子は何も知らない方がいい。


でも、知った方がいいのか?

里子の幸せを考えたら現実を知って晴太を諦めた方がいいのかもしれない・・・






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