窓ぎわの晴太くん



里子と涼がコインパーキングに着くと、入口にある自販機の前に晴太は立っていた。
晴太の目は里子より先に里子と一緒に歩いてきた男を捉えていた。
一瞬で嫉妬のスイッチが入ってしまう。


「よう、晴太、ひさしぶり」


晴太は暗闇に浮かぶ顔だけではそいつが誰なのか判別できなかった。


「晴太??」


里子達が近づいてきて、そいつが誰か晴太はやっと分かった。


「涼か?」



「ビンゴ。
晴太、元気そうじゃん」


このくそ生意気なガキがなんでここにいるんだ?
晴太は面倒くさそうに涼を見た。


「夏子の店に来てたんだな。
夏子によろしく言っといて。

じゃあな。

ののちゃん、行こう」


里子は涼に軽くお辞儀をし晴太の元へ行こうとした時、涼が里子の腕を掴んだ。


「里子ちゃん、俺、また里子ちゃんと会いたい。
また、連絡していい?

連絡先、姉ちゃんに聞いていい?」


里子は早く晴太の元へ行きたかった。
この腕を離してもらうために里子はとっさに頷いてしまった。







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