お見合い結婚~イケメン社長と婚前同居、始めます~
「じゃあ、どうしてそんなに黙っているの?」
昨日のことを思い出せば、今でも胸は高鳴るし、眼鏡を外した私を見て「かわいい」と言ってくれた藤丸さんの笑顔をもう一度みたいとさえ思ってしまう。
昨日まで普通に話をすることが出来たのに、あんなことがあったら途端に目の前の彼を意識してしまう。
「何を話したら良いか分からないっていうか…」
「えっ??」
「だから、あんなことがあって普通に会話が出来ないんです!!!」
思わず勢いよく発してしまった言葉に藤丸さんは一瞬呆気にとられたような顔をしたかと思ったら、意地悪そうにニヤリと微笑む。
その微笑みがあまりにも色気を帯びていて私は彼を見つめたまま動けない。
「それって、僕の事を少しは意識してくれているって捉えていいのかな?」
「別に、そういうわけじゃあ…」
私の反応に藤丸さんは楽しそうに肩をククっと笑って揺すってみせた。