その男、猛獣につき
独占欲にも、嫉妬にも似た感情は時間が経過するたび、有田が他の誰かと仲良くしている様子を見る度に少しずつ、少しずつ自分の心を支配して、大きくなっていくのが分かる。
「じゃあ、お疲れぇ」
車椅子バスケが終わる頃には、気持ちのほとんどをその感情に支配されていた。
「お疲れ様です」
車椅子で車まで移動する敦也の背中を荷物をもった有田が、こちらに小さく挨拶する。
トコトコと小走りで、敦也を追いかける様子を目で追いかける。
今、このチャンスを逃したら…
そんな思いが頭をかすめた瞬間、俺は有田の背中を追いかけるために走り出していた。
「有田!!!」
「はい!!」
思わず、背筋をぴんと伸ばして返事をした有田の手を自分の手に取って握りしめる。