その男、猛獣につき
「こ、こ、こんなことされたんじゃ、私の決心が崩れ落ちます!!!」

 

先生の言葉も聞かず、私は先生を突き放した。

 

先生はキョトンとして私を見ていて、私は頭のてっぺんから足先まで真っ赤になるほど、身体が熱を帯びている。

 

車内の2人の間に気まずい沈黙が流れる。

 

先生への気持ちが溢れだしそうになって、私は唇をきゅっと結んだ。

 

 

「有田の決心って何?」

右手で、ふんわりとしたパーマのかかった頭をかきながら、ふてくされたように先生は尋ねる。

 

「そ、それは…。先生こそ!!先生の決心って何ですか?」

 

口を尖らせて発した私の言葉に、先生は盛大にため息をついた。

 

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