その男、猛獣につき
「いつから…?いつから、そう思ってくださっていたんですか?」
私がそう言って先生に視線をやると、熱を帯びた瞳で私を見つめる先生と見つめ合う形になってしまった。
「それは、秘密だ」
先生は少しだけ微笑むと私の顎を、指先でクイッと持ち上げる。
か、顔が近い…。
先生の涼やかで整った顔立ちに見つめられると、さっきよりも鼓動が急速に速まり、先生まで聞こえてしまうのではないかという錯覚にさえ陥る。