その男、猛獣につき

1週間ですっかり慣れてしまったリハビリ室での生活。

私は生活しているリハビリ室の片隅のADL室で寛ぐことにした。



部屋着のTシャツにスウェットのズボン。
いつも実習で結んでいるロングの髪の毛も今日はおろして、前髪だけをちょこんと結び、黒縁のメガネを掛けた完全リラックスモード。



誰も居ないし。
今日は日曜日だから誰も来ないだろうし。



そう思って、メイクもせず、自販機で買ったパックジュース片手に体操座りでネットサーフィンを始めた時だった。





ーードンドンドン‼ーー





勢いよく、ADL室の襖が叩かれる。


ひぃぃぃっ‼

驚きのあまり、私は声にならない悲鳴をあげた。
返事なんてする余裕なかった。



私が返事しないので、襖がゆっくりと開かれる。


「おい。有田。行くぞ。」



そう言って、襖から顔を出したのは、紛れもなく興梠先生だった。

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