シークレットな関係
雨色のサスペンス

朝の気配を感じて、ふと目覚める。

枕元に置いてあるはずのスマホを探して時間を確認すると、五時少し前だ。

今日もアラームが鳴る前に目覚めることができたと、ホッとしつつ画面を閉じる。

だって彼を起こしてしまうと、腕の中から逃れるのにすごく苦労してしまうから。

そう、隣で静かな寝息を立てている彼、高橋和哉は普段はとってもクールなのに、二人きりになると甘い獣に豹変するのだ。

幼馴染から恋人になってもう半年くらい経つけれど、私は彼の言動に翻弄されっぱなしだ。


日課のジョギングと発生練習に出掛けるべくベッドから下りる段取りを考える。

まず体に絡んでいる腕をそっと持ち上げて、そろりそろりとベッドの端へ動いていく。

なるべく揺らさないようにそーっと。


ベッドから足を出して、あと少しで抜けられると思ったその瞬間。

力の抜けていたはずの腕が動いて、ぐいっと引き戻された。

ひゃっ?と言葉にならない声を漏らすと、ささやくように「桃花」と呼ばれて胸がきゅんと鳴った。

彼のこの低めな声にすごく弱くて、一気に甘い世界に誘われてしまう。

すかさずうなじにキスが落とされ、背中がゾクッと震えて思わず首をすくめると、クスッと笑う声がした。


「桃花、ここ弱いよな」

「え、そんなことないよ?」

「へえ・・・そうか?」


イジワルくささやかれて同じ部分を容赦なく攻められ続け、とうとう降参の声を上げた。


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