あの日、君と見た青空を僕は忘れない
笑って

【side 大翔】

「…この間、岡本のところに行ってきた」

数日後、小池にそう話す。

「…よかったじゃん」

言い合いをしてから、久しぶりに話した。

小池は無視せずにそう答えてくれた。


「…あいつにキスした」

「へ?!」

俺の一言に小池が飛び上がる。


「…無理矢理?!」

「ちげーよ!…まぁ…雰囲気っていうか…したくなったっていうか」

「…欲求不満か!!」

「お前は相沢に毎日会えるからいいじゃねーか」

「まぁ。…この間はごめんな。お前ら見てると歯がゆくて」


「いや、俺こそ」


「正直、怖いんだ」

「なにが」

「…岡本、お見舞いに行くたんびに細くなっていって…点滴が増えて…なんて声かけていいのかとかわかんなくて…」

「あぁ」

「岡本のこと一番分かってるのは大翔だから。会いに行ってくれてありがとう」

「…お前に礼言われるとか意味わかんねーし」

「だな」



俺と小池は少し黙ってから、自然と空を見上げる。


「岡本、よくこうしてたよな」

「あぁ」



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