あの日、君と見た青空を僕は忘れない
桜の花びら

4月。

無事に大学に合格できた俺は、めでたく今日は大学の入学式。


幸と見た景色に似た、桜の花びらの絨毯が飛んでる青空が広がる。


俺は、顔を上にあげて、青空を見つめる。


『見て、黒田くん!綺麗だね』

って彼女が隣で言ってくれる気がして。


『急がないと入学式、遅刻するよ!』

って腕を引っ張ってくれる気がして。



あの時、君に出会っていなかったら。

今の俺はいない。






「大翔〜〜!写真とるわよー!」

お袋がそう叫ぶ。


大学生にもなって…写真なんて…


そう思いながら、渋々、みんなの待ってるところに向かう。


「似合ってんじゃん、髪」

一緒に来ていた兄貴に、黒く染めた髪を褒められる。


「ヤンキー黒田くん、卒業ってか!」
と親父。


「おめーら、あんま調子乗んなよ!」


「あ、写真、お願いしてもいいですか?」
親父が歩いてる新入生らしき人に頼む。

バカっ。

新入生は快く、カメラを手に持って
「いきますよー!」
と声をかける。



「ほらほら、笑って笑ってー!」





ぐちゃぐちゃになりながら、家族4人で写真を撮る。




幸。


お前のおかげで、俺は今、幸せだよ。




生きてくれてありがとう。



生まれてきてくれてありがとう。


たくさん言い合いして、ケンカして、すれ違って。


たくさん、たくさん泣いたけど。


誰よりも素敵な時間を過ごせた。


何よりも大切なものをもらった。






なぁ、幸。



ありがとう。


愛してる。



俺は、ネックレスに付けられている、指輪をギュッと握りしめて、桜の花びらが舞う、大学の門を通った。







──END──


< 130 / 130 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:53

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

【短編】ファースト・キスはあなたの部屋で

総文字数/3,072

恋愛(純愛)11ページ

表紙を見る
【短編】弱った君が愛おしい

総文字数/4,909

恋愛(純愛)11ページ

表紙を見る
【短編】くすぐって真夏日

総文字数/9,302

恋愛(純愛)23ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop