あの日、君と見た青空を僕は忘れない
放課後、岡本は相沢と一緒にデートすると言い出して、さっさと教室を出て行った。
これでひっさしぶりに静かな放課後が過ごせる。
本当。
「黒田!」
誰かに靴箱で声をかけられて振り向く。
知らないやつだ。
「誰」
「ひで〜。一応、去年も同じクラスなんだけど」
「へー。で、誰」
「男には冷たいのなー」
「あ?」
「いや、悪ぃ、悪ぃ。実はちょっと話したくてさ…」
なんだ?
気持ち悪い。
俺は「あぁ」とだけ言った。
─────
小池 誠人(こいけ まこと)。
相沢のことがらしい好き。
帰り、途中入ったらラーメン屋で話してわかったことだ。
「で?相沢といい感じにしてほしいわけ?」
麺をすすってそういう俺。
「いや、まーそれもあるけどなー。なんか、お前と話したくて」
「キショ」
「そんなこと言うなよ〜。いや、なんで授業受ける気になったのかな〜ってさ。副学級委員にもなっちゃって。あの不良少年が」
「別に、授業受けたいとも学級委員なりたいって思ってやってるわけじゃねーよ」
「岡本?」
「…なんか、あいつといるとあいつペースなんだよ」
なんで小池にこんな話をしてるのか自分でも疑問だ。
「でも、お似合いだと思うぜ?」
「殺すぞ」
「ごめんごめん。で、お願いなんだけど」
なんだ。
やっぱりなんかあるんじゃねーか。
「相沢さんと話したいんだけど、なかなかタイミングつかめなくてさ、近いうちに、話せる場作ってくんない?」
「はぁ?なんで俺が」
「お願い!!」
「嫌だよ」
「ほら、今日あんなことあったし励ましてあげたいっていうか…」
「お前がいなくても大丈夫だろ。相沢、本当の気持ち言えてスッキリしたって言ってたぞ」
「そんなこと言わないでよぉーー!!」
「あー、もー、わかったから大声出すな!」
岡本といい小池といい大声出せばなんとかなると思ってやがる。
まぁ…なんとかしてしまう俺がいるからなんだけど。
「でも、あれだな。お前、結構話しやすいやつだな。俺、お前と相性いい気がする!友達だな!!」
「気持ち悪いこというなよ。殺すぞ」
「そんなこというなよー!ほら、おごってやるからさ」
「そのつもりだけど」
「あ、そうなのね…」
俺たちは麺が伸びる前にささっとラーメンを食べた。