あの日、君と見た青空を僕は忘れない

「お願い!お願い!今年で最後の始業式じゃん!お願い!」

岡本が頭を下げてそうお願いする。


ったく。

うっぜーやつに捕まったもんだぜ…


「わかった。行くから、頭あげろよ」

「やった!じゃあ、走ってください!黒田くん!」

「へ?」


「遅れちゃっまずいので」

まじかよ…。


校舎の階段を降りて、玄関に出て、体育館に向かう。


外に出ると風が吹いて、桜の花びらが舞う。




「ちょ、まって、黒田くん!見て!上!」


前を走ってた岡本が急に足を止めてそういった。



俺は言う通り、空を見上げる。



そこには、今まで見たことないくらい、真っ青な綺麗な青空にたくさんの桜の花びらの絨毯が飛んでるかのようだった。


…綺麗


素直にそう思った。



景色に見入ってから、ハッと我に帰り、顔を岡本に移すと岡本はまだ上を向いていた。


「…口あいてんぞ」

岡本にそう突っ込む。


「あ!」

岡本は慌てて口を閉じて、こちらを見て「えへへ」と笑った。


なんでそんな幸せそうに笑ってんだよ。


「つーか、早く行かないと遅れるんじゃねーの?」


「…あ!そーだった!黒田くん、寄り道しないでよ!」


「俺かよ!」


俺たちはそんな言い合いをしながら、体育館の中へと入った。



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