専務とお見合い結婚!?


両家の両親がいなくなると、私と専務が向かい合わせに座るという奇妙な状況となった。


頭からつま先まで着飾った、着物姿の私と、濃いネイビーのスーツに明るめのブルーのネクタイを締めた専務。


このスーツの色は社内では見た事がないなと思いながら、ジロジロと観察していた。



「そんなに見つめられると、さすがに照れるんだけど。……あ、もしかしてカッコいいって惚れちゃったとか?」


「バ……ッ!」



バカ言わないで下さい!


そう言おうと思ったのに言えなかったのは、図星だったからかもしれない。


正確に言えば、『惚れ直した』なんですけどね……。


顔が赤くなったような気がして、目の前にある湯呑を手にして口元へと運んだ。



「……一体、これはどういう事なんですか?」



お茶を一口飲んだら、少し落ち着いた。


湯呑を置いて、手を膝の上に戻して真っ直ぐに専務を見て質問をぶつけてみる。


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