二人の穏やかな日常

好きになったとき


「前原さん、ずっと気になってたことがあるんですが」


あの日から、前原さんはよく家に来て勉強する。
その勉強を見ながら、今の今まで考え込んでいたことがあった。


「以前前原さんがデートしたって相手とはどうなったんですか?」


まだ付き合う前に一度だけお洒落な前原さんを見た。
隣にいた前原さんの友達がデートだと教えてくれた。

後日前原さんは「恋愛とか向いてないんじゃないか」と悩んでいたし今は俺と付き合ってるくらいだから、その人とは馬が合わなかったのだろう。と思うけど。


その相手は今、前原さんのことをどう思っているだろうか。

デートに誘ったのは確実に向こうからだろうし、前原さんに想いを寄せていたということだ。

今もなのか?
今も、その男は前原さんが好きだったりするのか?

ずっとそんな、女々しいことを考えていた。


「……ああ、トミーのことか!」


前原さんは暫く考え込んで、思い出したらしい。

トミー?
俺のライバルは外国人なのか。

それは結構強者な予感。
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