二人の穏やかな日常

小さなライバル登場


「おっす修一!」


ある日曜日のお昼。突然の訪問者。


「……兄ちゃん」
「おう久しぶり」


ひとつ上の実の兄。隆文兄ちゃん。


「よっ、修一!」


とその息子、智輝。
四歳のくせに兄に似てるからくそ生意気で、俺のことを修一と呼び捨てにする。


二人は部屋に上がるなりソファにどかっと座った。
俺も二人の側の床に座り込む。


「何だよ急に」
「暇だから遊びに来たー、なんだその嫌っそうな顔は」


嫌だろ。


「連絡してからにしてくんない」
「てかお前なんか若返ったんじゃねえの?何?恋してる?わけないわな!」
「……」


若返ったっていうのは確かに最近よく言われる。
撮影現場でスタッフの方とか、モデル仲間からも。
それで最近仕事も増えたくらいだ。

……前原さんと、付き合ってからだ。


「彼女が、できた。からかもしれない」


俯きながら小さく答えた。


「まじか!何年ぶりかにお前にも春が来たか!」
「はは……」


何年ぶりかって言うほど長い間枯れてないわ。と思いかけたけど、そういえば実際何年ぶりか、だった。


「で、どんな子?」
「隣に住んでる。前原さんって子」
「お隣さんか!何歳?」
「……十七歳、高校二年生」


答えると、兄ちゃんの顔が固まった。
そんな父親の顔を見て智輝が「何?やばいのそれ?お父さん」と、子供らしい遠慮のない質問。
< 118 / 180 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop