二人の穏やかな日常

文化祭②


それからホーリーくんは「俺女子のファッションショー見に行かなきゃいけないんで!」と、キラキラした目で楽しそうにまた講堂へと走っていった。


智輝からの鋭い視線を感じながら、前原さんと手を繋いだまま四人で店を回ることに。


「とりあえず何か軽く食う?」


兄ちゃんが案内の紙を開く。


「んー、あ、近くの教室ちょうど喫茶店的なんやってるっぽいわ。2Dだって。行こうぜ」
「あ、2Dトミーのクラスですよ」


トミー。
前原さんの言葉にぴくりと肩が揺れる。


「何?友達のクラス?じゃ丁度良いね」


良くない全く良くない。

なんでわざわざ、可愛い格好した前原さんを、前原さんに惚れてた男に見せにいかなきゃいけないんだ。


でも本人的にはもう終わったことのようになってるみたいで前原さん全然気にしてないし、いちいちうだうだ言ってたら小さい男と思われるだろうか。

いやいやでも、せっかく前原さんの写真がトミーとやらの手に渡るのだって阻止したんだし。

ていうかそもそもそいつも写真欲しがってたってことはまだ前原さんのこと好きなんじゃん。
諦めろよさっさと。
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