二人の穏やかな日常

富井くんの恋


とうとう日曜日がやって来た。

ちっちが大量に持ちよってきた洋服に囲まれ、私は超ミニのワンピースをおずおずと見つめていた。


「こんな脚出すやつばっか」
「脚は出してなんぼ」
「毛が……大丈夫かな」
「剃れ!」
「ひぃぃすみません!」


ちっちが怖い。

可愛いしすごく高そうなものばかりなんだけどあまり私のキャラに合うものじゃない気がするなあ……。


「もっと胸盛れない?背筋伸ばして!うわ何あんた眉毛ぼさぼさじゃん!前髪で隠してサボッてたな!?髪は巻いた方が良いのかな、いやストレートか……。睫毛は長いからつけまはいらないな、なるべく清楚にいこう」



ちっちによる決死のメイクアップに翻弄されること一時間以上、私はされるがままでいたけど、なんとかちっちが納得いくようになった頃、鏡の中の私は見違えるようだった。

……可愛い。
いや自分で言うのはあれだけど、我ながらなかなか。


「なんだまえほっぴーやればできるじゃーん!可愛いよ!超可愛いってまじで!」


背中をバシバシと叩かれる。


「う……そ、そうかな」
「うんうん!その服貸したげるからね。メイクもバッチリ!」


なかなか良いな。斎藤さんに見てもらいたい。


……はっ、なんでだ。
なんでそこで突然斉藤さんが出てくる?

おかしいよ私。なんか最近おかしい。

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