二人の穏やかな日常

「じゃあ見てよ」


さっき閉めたばかりの斉藤さん家の玄関をもう一度開けると、隆二の腕を無理やり掴んで引っ張り込む。


「おいやめろって、俺に犯罪の片棒担がせる気だろ、離せって馬鹿!」


後ろでごちゃごちゃ言ってることは全て無視してまっすぐベランダに向かう。


斉藤さんには、弟まで許可なく入れてしまって申し訳ないけど、緊急事態だ。

弟にストーカーもしくはポテチ泥棒認定されるなんて、たまったもんじゃない。
こいつすぐチクるし。


「ほらね」


ベランダの盆栽を見せて、手を離した。

隆二は暫く呆然と三つの盆栽を見つめたあとで小さく「まじだ……」と呟いた。



「……てかそれでもお前が斉藤さんに盆栽の面倒頼まれて鍵預けられたってのが本当かどうか分かんねえけど、仮に本当だとしても、なんで百合なんかに」


なんかって何だ、なんかって。


「なんか私見る目あるらしくってぇー、それで私の怖いくらいの才能に気付いた斉藤さんが是非是非!私にお願いしたい!って言うのぉ。そこまで頼まれたら私も断れないじゃんっ?」


若干盛った。


いつもなら私の頭をはたいて「喋れ方うざいぞこのタコ」なんて鋭くツッコミを入れるはずの隆二が、何も言い返さず口元に手をやりながら何か考え込んでいる。


「隆二?」
「なあ百合、斉藤さんいけんじゃね?」
「は?」
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