二人の穏やかな日常

拾うこともせず「告白!?告白って何!?百合が!?」と慌てふためいていて、その隣でお母さんが「あらあら」と微笑んでいる。

ていうかお母さんより隆二の方が私の気持ちとか私と斉藤さんの関係とか見てたはずなのに、お母さんの方が落ち着いてるって何。

これが人生三十年のキャリアの違いか。


「で、お付き合いすることになりました」
「しかも告白成功してんのかよ!」
「隆二いちいちうるさい」


お母さんはニコニコ拍手をしながら「おめでとう」と祝福してくれる。

隆二は「まじかよ!……まじか!」と叫びながら落ちたお箸を洗いに行って、なんだかんだ嬉しそう。


「百合百合」
「ん?」
「キスは?もう奪ってきた?」


隆二がお箸を洗いに行って食卓に二人になったところで、お母さんが相変わらず笑顔を崩さずに言ってきたもんだから、危うく私も箸を落としかけた。


「なわけないでしょ!?」
「え、じゃあもしかしてその先を?」
「してないってば!」
「なーんだ……」


なーんだ……って……。
親がなんてこと言ってんだ……。


「それより問題はまーくんよねえ」


タイミングよく隆二が洗った箸を持って戻ってきた。
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