ゾッとするホラー短編集
肝だめし
「みんな知ってるか?




10年前に廃墟になった

立谷病院、

出るらしいぜ」






「出るって、何が?」






私は健二の顔を

マジマジと見つめ、

言葉を返した。






「出るって言ったら、

決まってるだろ。




幽霊だよ、幽霊」





「えー、やだそんなの。




私はそういうところ苦手なの。




暗いとか、怖いとか、

幽霊とか……」






私のとなりで、

親友の恵子が声を上げて、

そう言った。






「何ビビってんだよ。




幽霊なんか、怖くないっつうの。




そんなのが出てきたら、

オレがやっつけてやるよ」






恵子の彼氏の拓海が、

笑いながらそう言った。
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