あの日、あの時、あの場所で。
「大丈夫?」

「グズッ…お姉ちゃん…グズッ…だれ?…グズッ」

「お姉ちゃんは、西川杏奈って言うんだよ。君のお名前は何ていうのかな?」

「ましましょうへい!」

「将平くんか〜…どうして泣いてたの?」

「ママがね、いなくなっちゃったよぉ…グズッ…」

「そっか…よしよし。もう泣かないで。」

「うん…グズッ…」

「将平!!」

「あ、ママ…?」

「将平!ごめんね。」

「大丈夫!杏奈お姉ちゃんがね、よしよししてくれたの!」

「そっかそっか…ありがとうございました…」

「いえ!とんでもないです!将平くん。良かったね!」

「うん!お姉ちゃん!ありがとう!」

「いえいえ!もうその手は話しちゃダメだよ。」

「うん?」

「いつかわかるよ。それでは、失礼しますね!」

「あ、お名前を伺ってもよろしいですか?」

「西川杏奈です!」

「西川財閥の…?」

その時、西川杏奈という女は笑ってごましかした。

「それでは、失礼します!将平くん。またね!」

「またね!お姉ちゃん!」

それが杏奈と俺の最初の出会い。










< 62 / 114 >

この作品をシェア

pagetop