不器用な愛を刻む








一方 その頃 役所では──













「……もう1度、ご説明ください…。」

「何度聞いても同じだ。
……きっと、奴らは来る。」

「っ、そんな──!!」







バンッ!!




と、

喜一がテーブルを叩く音が部屋に響き渡る。





珍しく激しく動揺している喜一を、
青戸はただ黙って見ていた。




2人の表情は険しく

険悪な雰囲気が流れていた。







喜一は悔しそうに唇を噛みながら

少し下に視線を向けて




息を飲む。








───早く知らせなくては。






喜一はそう考えながら

手に持っていた紙を
力一杯 グシャッ---と握る。









「っ…失礼します!!」

「--------。」








---バタンッ!!








大きな音を立てて出て行った喜一。





そんな彼の背中を追うように

青戸は静かき扉の方向へ視線を向けていた。








(……こちらも
準備しておく必要があるな…。)








青戸は

これから起こるであろう事態に備え
静かに動き出した---。









< 67 / 180 >

この作品をシェア

pagetop