天使の梯子

あんないい子を苦しめて、傷つけてしまった自分にやっぱり腹が立つ。


だけど、きっともう大丈夫だ。楓ちゃんを取り戻すためなら、きっと暎仁はなんでもするだろうし、楓ちゃんも、きっとまだあいつのことが好きだ。だから、俺も前に進もう。


「暎仁は介抱してもらえるなんて言ったけど、逆だな」


すべてを話したら、きっとあの子は俺のことを殴るだろう。


俺の大好きなあの子は、曲がったことが大嫌いな真っ直ぐな子だ。


そう思ったらまた身震いするけど、俺の手で幸せにしたいと思ったあの子に、すべてを伝えよう。


あの子がこんな最低な俺を受け入れてくれたなら、その時は……。


俺はその日、二度目の覚悟を決めて、車のエンジンをかけた。


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