天使の梯子

私の元カレ・諏佐瑛仁の親友である浅井直哉(あさい なおや)さんは、困ったように笑って私の前にしゃがみこんだ。


「楓ちゃん、あの時のことはさ……」


「直哉、楓になにをしてる」


その声に、直哉さんはハッとしたように立ち上がった。


瑛仁くん……、私服に着替えた諏佐さんが私のバッグを持って怖い顔で浅井さんを睨んでいる。


「楓に、なにかしたのか?」


その言葉に私の身体がビクリと震える。諏佐さんのほうを、怖くて見れない。


「瑛仁、あの、な……、四年前」


「直哉」


浅井さんがなにか言おうとするのを、諏佐さんが遮った。


「お前がなにを知っていようと、俺は……」


「瑛仁……」


床に座りこむ私の前に、諏佐さんがしゃがみこんだ。だけど、私はやっぱり顔を上げることが出来なくて、座り込んだまま床を見つめる。


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