キミは僕に好きとは言わない

「会いたいのは荻原先輩なのに」



部屋に置いているカレンダーを見て、夏休みももうすぐ終わりか。と、息を吐いた。

1ヶ月近く休みがあるくせに、家でダラダラ過ごすだけであっという間に時間が過ぎる。


今年の夏休みは、海にも山にも、お祭りにだって行ってない。


唯一出掛けた場所といえば、萩原先輩と桃矢の3人で行ったフラワーガーデンくらい。

といっても、すぐに解散しちゃったからほとんど遊んだ記憶はないんだけどね。


桃矢と別れて先輩の元へ戻った後、ようやくデートが再開できる!って思っていたけど、そう上手くはいかなかった。


変な空気感が残ったままでぎこちなかったし、先輩も愛想笑いばかり。

気を使ってくれたんだろうけど、わたしにとっては逆効果だった。


先輩が楽しんでくれなきゃ、わたしだって楽しめないもん。


けれど、最後まで先輩が笑顔を見せてくれることはなかった。

園内を速足に1周したら、すぐに解散して終わり。


楽しみにしていたデートは呆気なく幕を閉じてしまった。


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