きみに触れられない

「好き」の定義

昼休み、呼び出されたのは屋上だった。

頭上に広がる夏はすっかり雲に覆われて、空は白い色をしていた。

いつもよりずっと、空が低く感じる。


さっきまで晴れ渡っていたのに、急に曇りだした。

夕立なんてことが起こらないといいけれど。


私は体育座りをして綾芽ちゃんを待っていた。

綾芽ちゃんは先生に呼び出されたらしく、少し遅れていくから先に行ってくれないかと申し訳なさそうに言っていた。


今日は太陽が雲に隠れているから、直射日光が当たらない分、いつもよりはずっと過ごしやすい。

けれど、いつもよりなんだかずんと気持ちが重たくなるような気がした。


空の青が雲に隠されて、太陽の光が弱まるからだろうか。

いつもと同じ屋上なのに、そのコンクリートの色はいつもより暗く濁ったように感じた。


直射日光は苦手だが、曇りはそんなに好きじゃない。

矛盾した気持ちが胸の中にあった。


「ごめん、待たせて!」

綾芽ちゃんが大きな声で謝りながら走ってきた。


「大丈夫、そんなに待ってないよ」

私が笑うけど、綾芽ちゃんは乱れた息を整えながら「ごめんね」ともう一度謝った。


「それにしても、どうしたの? こんなところで話なんて」


綾芽ちゃんは私の横に座った。
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