きみに触れられない
「本当は好きなのに、敵わないって思ってしまうことが、敵わないって決めつけてしまうことが、悲しいんだよ」


なぜかハルは泣き出しそうな顔をしていた。


「そんな風に、決めつけてしまわないで」


言葉はまっすぐで胸に突き刺さるけれど、ほんの少し優しい色をしていた。


「そんな言葉で、みーちゃんを傷つけてしまわないで」


次々と花火が打ち上がる。

中心から真っ直ぐに凄い速さで光が射状に伸びていく。

それが幾重にも重なって、光はさらに輝きを増していく。

それが綺麗で目を奪われてしまう。

だけど途中からそれがぼやけて見えた。


「泣いてもいいよ」


少し笑ってハルがそんなことを言う。


もう、全部、全部、打ち上がる音の中に、暗い夜の中に紛れてしまえ。

そう願いながら、私は泣いた。

ハルはずっと、隣にいてくれた。

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