きみに触れられない

特別なひと、好きなひと

夕焼けに染まる帰り道をカナと歩く。

私は徒歩で、カナは自転車を押して。

いつも登校するときは話が絶えないのに、今日は二人とも話さなかった。


「……」

「……」


__気まずい。気まずいことこの上ない。

カナが誘ってきたくせに、何も話さないなんてずるい。

しかもさっき綾芽ちゃんからカナが綾芽ちゃんをフッたことを聞いたから余計になんて話せばいいのか分からない。


一言も言葉は発していないけれど、脳内は大パニックだ。

思考回路はそれこそショートするんじゃないかと思うほどの速度で堂々巡りを続ける。


カナといて、こんなに気まずいと思ったのは初めてだ。

カナとケンカをした幼い頃はすぐに仲直りできたし、仲直りをしたらまたすぐに仲良く遊びだした。

でも今はあの時と状況も何もかも違う。


まず第一に私とカナはケンカをしていない。

第二にどちらかが謝らないといけない状況ではない。


自分でも訳が分からない。

この状況は何なんだ。


そう思っていると、「あのさ」とカナが沈黙を破った。
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