きみに触れられない

秘められた過去

「ハル!」

放課後、私は校舎内を走り回っていた。

ハルを探した。


『ハル先輩は、俺達サッカー部の先輩でさ。
かっこよくて明るくて、誰に対してもやさしすぎるくらいやさしい先輩だったんだ。

だけど、あの日__試合が終わった日、交通事故に巻き込まれてさ。今も入院してんだ』


サッカー部のみんなは初めて話した私にも詳しく話してくれた。


ハルがサッカー部の先輩だったこと。

優しくて明るくて、強い、憧れの先輩だったこと。

それからハルが交通事故に巻き込まれたこと。


それはいつかカナからも聞いた話しだった。


『俺さ、中学校のときからお世話になってる先輩がいるんだ』


あの時カナが言っていたのは、ハルのことだったのだろう。

今になって気づく。


『先輩、あの日から昏睡状態なんだ』


ハルは昏睡状態で眠りについていると、カナは言っていた。

そんなハルの体調が悪化した。

それを知った瞬間、まずいと思った。

専門的知識なんてほとんどないけれど、本能で危険な状況だと悟った。


なんだか胸騒ぎがする。

嫌な予感がする。



ハルに会わなきゃいけない。

その気持ちだけが膨らんでいった。
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