きみに触れられない
2章

変わらない日常

次の日の朝、リビングに向かったけど、誰もいなかった。

またいつものように、お母さんの置手紙と朝食が用意されていた。


『美咲へ。

今日、お母さんは深夜勤なので朝は寝ます。

お父さんは病院から連絡があって、もう病院に行ってます。

朝ご飯は用意したからちゃんと食べてね。

今日も気を付けて行ってらっしゃい』


「ありがとう、お母さん」

そっと置手紙を机に置いて、椅子に腰かける。

皿には、目玉焼きとサラダ、食パンが一枚乗っていた。

食パンを焼いている間に、ニュース番組を適当に見る。

どこかの誰かが殺されたとか、どこかの誰かが逮捕されただとか。

毎日毎日、そんな暗いニュースばかりだ。

気分が滅入るなと思っていると、天気予報に移った。

降水確率、60パーセント。

微妙だな、折り畳み傘を持って行こうか。そんなことを考えているうちにパンが焼けた。


朝食を食べ終わると、いつものように家を出る。

まだ寝ているお母さんを起こさないように「行ってきます」と小声で言うと、家を出て玄関の鍵をかけた。

「ミサ!」

隣から声が聞こえる。

「おはよう、カナ」

カナはいつもと同じように自転車を押しながらこちらに笑顔を向けていた。

スクールバッグと大きな白いエナメル。

今日も部活なのだろう。

「一緒に行こう」

「うん」

頷くとカナはいつもと同じ快活で爽やかな笑顔を見せた。

ずっとずっと変わらない笑顔。
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