続★俺だけの家政婦さん

別れ

翌日、いつでも帰れるようにと玄関に自分の荷物を置いてから

私が使っていた部屋の掃除を済ませると

朝食の用意をし、野末君の寝室をノックした。


「野末君、朝食ができました」

「……わかった」

呼んでから5分後に野末君は少し疲れた顔で現れたがテーブルを見て立ち止まる。

「なんで?俺の分だけ?」

昨日の事もあり、一緒に顔を合わせてご飯を食べる勇気がなくて、私は

おにぎりを一つ作って野末君を起こす前に朝食を済ませていた。

「私はもう少ししたら上がらせてもらうから先に軽く済ませたの」

野末君を見たら昨夜の様な胸の痛みを感じてしまい、

また変なことを言ってしまうのではないかと思い落ち着かなかった。

野末君も何か言いたそうに何度か口を開くも結局何も言わなかった。

そして野末君は小さくため息を吐きながら椅子に座ると私は野末君の前に立った。

「朝食の後片付けが終わったら上がらせてもらいます。今までありがとうございました」

45度の角度で頭を下げた。

「こちらこそ、栞里がいてくれて随分助かったよ。ありがとう」

野末君は軽く頭を下げると何事のなかったようなご飯を食べ始めた。
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