⑦オオカミさんと。溺れる愛の行く先に【番外編も完結】
奴は技術職、俺は総合職だったから歩む道は違っていたが、一番身近な同期生とあって何となく競い合ってきた。

何を隠そう今の俺のヨメ、燈子までを競ったんである。

まあ、どちらも俺の圧勝だったがな。

こいつはその後、とある理由で会社を変わり、俺も転勤だの結婚だのとイロイロあって、こうやってサシで飲むのは実に久しぶりなのだ。

「しっかし相変わらずバカだな……テメエが経営陣のブレインだなんて、三鷹もアブねえな、こりゃ」

失礼なことを言いながら、熊野(アホ)はジョッキを一気に空けた。

「フン、負け惜しみかよ。
お前こそどうなんだ。今んとこ、クビにはなってないみたいだが」

負けじと杯を空け、通りかかった脚のキレイなオネエサンに“同じのを2つ”頼む。

「…実は…今ちょっと悩んでてな……」

「へぇ、何をやらかしたんだ?
戻ってきたいって相談なら、考えない事もないぜ。部下としてこき使ってやる」

「そんなんじゃねえよ。むしろ仕事は順調だ」

 
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