⑦オオカミさんと。溺れる愛の行く先に【番外編も完結】
俺が変わったんだとしたら、それは多分君のせいだ。

思うに。

これまで俺達は、どこか不完全なパートナーだった。

他ならぬ俺の、浮わついた愛情が君を動揺させ、君の動揺が俺を不安にさせていた。

だから俺達は、絶えずそれを大袈裟に示し、肌に触れあうことで、互いの愛情の有りかを確かめ合っていなければならなかった。
 
今は違う。
適度な距離が心地よい。
目には見えない、確かな信頼がそこにあるからなんだろう。

彼女がまず、自身の動揺を絶ち切った。
俺はただ追随しただけ。
情けないことに、5つも年下の君に助けられてばかりいる。

これからは、 

周りをも巻き込み焼き焦がしてしまうような炎の波に2人して浮き沈みする、激しく不安定な恋の時期には終わりを告げて

それは自然と

初夏の夕暮れの木漏れ日のように静かな、しかし心地よい愛情に変わっていくのかも知れない。

……少し寂しい気もするけどな。

 


と、エエ格好しいの俺様としては、ここで終わっておきたいトコロなんだが……
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