⑦オオカミさんと。溺れる愛の行く先に【番外編も完結】
そう、あれは数日前のことだった。


「あの~…専務。宜しいでしょうか?」

秘書の堂林(男)が、執務室にオドオドと入ってきた。

俺は今年、専務になった。

血迷った副社長が『南米で農場経営したい』などとホザいて勝手に引退を決めてしまい、
その結果、光仲(アホ)専務は副社長に、俺様は専務にそれぞれ持ち上がったのだ。


ってなわけで超機嫌の良い俺は、ニッコリ笑って返事した。
「何だね?堂林君」

「えっ…とそのぉ、急な御客様が。どうしても専務に会いたいと仰られて…」

「…アポイントなしでか?」
「ええまあ……」

「じゃあ断れ。オマエ一体何の為の秘書だ」

「うっ、し、しかしそのぉ…」

どうもコイツは歯切れが悪くていかん。

「何なんだ一体、言いたいことがあるならハッキリと……」

イライラと堂林を叱りかけた時だ。

(お、御客様っ、今暫くお待ちを…)
(ちょっとぉ~、いいからはやく会わせなさいよ)
 
何やらドアの外が騒がしい。

と……
 
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