この手を握っていて
「この歌手、三年間ロスに住んでて、本格的に歌を勉強して、デビューしたんだって」
「へえー」

耕二は話を受け流しながら、落語のコーナーに行った。

「耕二くんも落語好き?? 亮介くんは凄く勧めてくるけど・・・」

ルミは、耕二の腕に絡み付くように体を絡めてきた。

「耕二くんが聞くなら、私も聞こうかな」

ルミは耕二を上目遣いで見つめた。
耕二はルミの肩を抱くと、CDショップから出て近くのラブホテルに入った。






「私、もう帰らなきゃ」

耕二の素肌に顔を埋めていた裸のルミが顔を上げた。

ルミの父親は企業の社長で、ルミに厳しいため、外出は6時までという門限がある。

「そっか。じゃあ、先シャワー浴びてこいよ」

耕二は体を起こし、煙草を一本口にくわえた。
ルミは耕二をじっと見つめていた。

「・・・なんだよ。早くシャワー浴びてこいよ」

耕二が言うと、ルミはニッコリ笑った。

「耕二くんが煙草吸ってる時、凄くカッコイイ」

それだけ言うと、ルミは着替えを持ってシャワールームに行った。

耕二はルミの背後を見ながら、煙草の灰を灰皿に落とした。
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