花京院家の愛玩人形

「あー… えー…
僕を見てないで、写真集を見て」


「えぇ!
どれも美しいですわ…
ココは…ドコかしら?」


「鎌倉だね」


「花京院様はなんでもご存じですのね。
あ。
でも、わたくしもココなら知っておりますわ」


「…京都?」


「えぇ、三年坂ですわ。
以前、婚約者の彼と行きましたの。
わたくしたちも写真を撮りましたわ」


「…その写真、見せてもらっても?」


「もちろんですわ。
確かこの辺りにアルバムが…
ありましたわ。
どうぞ、花京院様」


「…
あぁ、確かに『紫乃』が写っている。
でも、どれも『婚約者』が写ってない」


「ふふ。
花京院様ったらおかしなコトを。
彼が撮っているのですから、当然ですわ」


「…そう、当然だね」


「この頃は目をケガする前で、色々な場所に二人で出掛けたはずなのですけれど…」


「そうみたいだね。
二条城に伏見稲荷、服装も様々だ」


「えぇ…
でも…見たコトもない景色のようで…」


「…」

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