花京院家の愛玩人形


「『花京院様』はないでショ。
僕はもう、君んチの客じゃないンだから」


ソファーベッドから身を起こして朝の挨拶をしようとした紫信を腕の中に巻き込み、要は薄い唇を尖らせて言った。

直接触れ合ったひんやりした肌と身体に残る独特の気怠さが、昨夜の濃厚な情交をいやがうえにも思い起こさせる。


「ぅ…///
あの…では、なんとお呼びいたしましょう?」


「ファーストネームで。
ハイ、どーぞ」


「では…
おはようございます、要…さん?」


「かーなり深い仲になったワケだから、『さん』もいらないンじゃない?
ハイ、もう一回」


「ぁぅ…
おはよう、ございます…か…要…///」


様々な気恥ずかしさで、紫信はもう真っ赤。

朝っぱらから可愛いな。


「うん。
おはよう、紫信」


そう言って華奢な腰から手を離して起き上がれば、露わになる細いわりにしっかりと筋肉がついた要の胸と腹。

それを見た紫信は、『ひゃっ』とかなんとか奇声を発してシーツの中に潜り込んだ。

あーらら、もっと真っ赤になっちゃった。

リンゴみたい。
ほんと、食べたくなるほど可愛いな。

昨夜の大胆な乳首と同一人物とは思えない。

目を糸のようにしてニンマリと笑った要は、ミノムシ状の紫信をシーツごと抱いて立ち上がった。

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